パワーが出ないとの修理は感覚的な事なので故障探求が難しい上に80㎞出さないと現象が出ない厄介な修理依頼
ディーラーでも分からなかった故障原因を特定しましたので解説していきます。
考えられる原因
感覚的で難しい修理ですがある程度の推測は出来ます。症状の他にもエンジンチェックランプが点くか点かないか?なども故障探求の大きなヒントになります。
ターボ
ターボが故障すると加速が悪くなり症状としては同じ様な症状がでます。
今回の症状と違うところは黒煙を吹かないのと、ターボ故障の場合はすべての速度域でパワー不足感がでます。
燃料ポンプ・フィルター
燃料ポンプもよく壊れる部品の一つでサプライポンプとも呼ばれます。
まずサプライポンプの場合はエンジンチェックランプが点く確率が高いです。加速中に急にチェックランプが点いて高速だったらアクセル踏んでも速度が出ず止まってしまいます。
マフラー詰まり
マフラーの詰まりもエンジンチェックランプが点いて最悪エンジンげ吹なくなるので今回の症状とは違います。
インジェクター
インジェクターはもっと重症でアイドリングが不安定になり加速時にモタツキます。一発でも死んだらエンジンかからないと思うので今回の症状とは違います。
では今回の車両の症状をもう一度確認しましょう
三菱ファイター
お客様から予備車であまり使わなかったトラックを新人が入るから使いたいとの相談をいただきました。
なぜ予備車にしていたかと言うと、「80kmぐらいから黒煙吹き出してパワーが出なくなるんだよね」との事でした。
さらに「三菱ふそうに修理に出して、インジェクターが2本ダメだから交換したけど治らなくて原因不明で返されたんだよ」との事。
三菱ふそうの見解
まずインジェクターが2本ダメならどうせなら全部交換して欲しかったですね。
多分社長がお金かけたくなかったのではないかと思いますが、過ぎた事なのでしょうがないとして、次のディーラーの修理としてはターボが怪しいのではないかとの事でしたが、ターボはしっかり回っていました。
確かに黒煙が出ると言う事は酸欠状態になっているのではないかとの予想ですが、ターボを交換となるとかなりの金額がかかります。
こう言うのは安い所から攻めるのが最良の方法かと思います。
実際に走ってみる
実際に走る前にターボの確認。
エアークリーナーを外しエンジンを吹かしてみるとしっかりターボの音がする。
まぁ大丈夫でしょう。
走ってみると、走り出しは調子が良いですが、そのうちに3速、4速ら辺で少し引っ張るとブルブル震えて黒煙が出て、例えるならスピードリミッターが効いている様な状態になる。
ちなみに排気ブレーキを効かせると黒煙を吹く。
排気ブレーキ
排気ブレーキはマフラーの途中に付いており、この排気の所を閉じる事でエンジンブレーキを強化するような構造になっている。
これが排気バルブを閉じた状態。
作動はエアーによってロッドが押されてバルブが閉じる。
通常使わない状態ではバルブはスプリングの力で全開状態になっている。
こんな感じですね。
原因は排気ブレーキ
マフラーのバルブが閉じっぱなしだとパワーは出ないですよね。
ちなみに1枚目の画像はおかしいです。
正常な排気ブレーキだとスプリングの力で全開状態に戻されるはずなのです。
あの状態だと異常です。
ただディーラーでなぜ分からなかったのかと言うと、排気ブレーキの作動的にはちゃんと動いていたからでしょうね。
作動音もしっかりしていて「パシュッ」と音もしていましたし、ブレーキも効いていました。
ただ中では閉まりっぱなしになっていたみたいですね。
納車して確認
お客様に納車して状態を確認した所、「メチャメチャ調子良くなったよ!」と言って頂いて嬉しかったのと、ちょっとディーラーに勝った気がして嬉しかったです。
部品の値段も排気ブレーキバルブが45000円ぐらいとターボよりかは格段に安い値段で、工賃入れても5万円ちょっとで収まると久々に良い修理をしました。
まとめ
ディーラーもコンピュータなどの診断機で故障診断したみたいですが、忙しかったのか原因までは掴めなかったみたいですね。
僕も診断機で診断してみましたが、エラーなどは出ていなかったので、実際に走って故障内容を再現して修理を進めてみました。
お客様も「乗らないと分からないよ」と言っていたので、再現してみて良かったと思います。
色々な故障に対応し、さらにレベルアップして行ければいいなぁと思います。
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