


エンジンをかけて擦れる様なキーキー音はベルトの可能性が高いです。
音が気になるのでベルト鳴き止め剤なるものが売ってますが、まったく無意味です。
その場では鳴き止みますが、簡単に言うとベルトに油を塗って滑らせているだけで、ごまかしているだけです。
ベルトが切れたらどうなるの?
僕の経験上ですがベルトは切れると他のベルトを巻き込みます。なぜならベルトは隣り合った場所に付いているからです。
切れた場合は走行不能になる事が多くちぎれたベルトが他の部品を壊すこともあります。
駆動されてる装置がとまる
- エアコンベルトが切れたらエアコンが止まる(冷風が出なくなる)
- パワステベルトが切れたらハンドル超重たくなる
- ファンベルトが切れたらオーバーヒート、オルタネータ(発電機)が止まりオーバーヒートもしくはバッテリー上がり
鳴き止め剤でごまかしても切れた場合のリスクは大きいです。
鳴き止め剤はなぜ無意味?
ベルト鳴きには3つのパターンがあります
- ベルトがダメ(痩せてる、亀裂、劣化)
- プーリーがダメ
- ベルトが伸びている
ベルト鳴きで修理で入庫した車にも故障探求で鳴き止め剤と同じようなスプレーオイルを塗布して鳴き止んだらそのベルトが原因と判断出来ます。
「鳴き止むんだから良いじゃん」と良く言われますがベルト鳴きの原因を理解すると鳴き止め剤は無駄と言う事が理解できるので、まずはそこから解説します。
ベルト鳴き
エンジンかけた直後や、寒い時期などにキュッキュッと鳴る音。
下記関連記事でベルト鳴きのパターンを解説しているので併せて読んで下さい
車の異音車の故障の前兆として、異音があります。中でも良く聞くのがベルト鳴きです。種類 エンジンをかけた時にギュイーと凄い音がする。 アイドリング時にシュルシュルと擦れる音がする。 たまにキッキッと音がす[…]
キュッキュッやシュルシュルと鳴っているだけなら問題ないですが、キーとかギューとか凄い音がすると流石に不安になるし、夜中や朝方だとうるさくて迷惑になります。
ベルトにも鳴きやすいベルトがあります。
鳴くベルト
やはりエアコンなどで使われる三角形のベルトは割と鳴きやすいです。これをⅤベルトと言います。
プーリーと言うベルトを挟んで回すタイプのやつはベルトがすり減ったり、劣化して亀裂が入ると中々良い音で鳴きます。
乗用車にも採用されていて大体鳴いているのはコイツで新品に交換して伸びも早いので「変えたばっかりなのにまたベルト鳴いてるんだけど!」ってなるのは伸びが原因です。
初期伸び
車検や点検や修理などで、ベルトを交換した後に、またすぐベルトが鳴き出す事があります。
これをベルトの初期伸びと言ってプーリーとベルトが馴染むとベルトが伸びた様な感じになりますが、馴染んだだけで伸びた訳ではありません。
僕ら整備士も初期伸び量を計算して、普段調整するよりも若干強めに張ります。
ただ張り過ぎりとプーリーが壊れるので、初期伸びを計算して張りますが鳴ってしまう事もあります。
何回ベルトを調整しても直らない時は原因は別にあります。
ベルト以外の原因
ベルトを交換して、初期伸びでもなくまだベルトが鳴く場合があります。
その原因はベルト以外の部品、プーリーが原因だったりします。
プーリー
分かりにくいですが、こちらの2個のプーリーを見て下さい。
片方は新品、もう片方はダメなプーリーです。
非常に分かりづらいですが、プーリーのベルト溝が減ってしまっています。
こうなるとベルトが溝の中に入り込んでしまい、いくら張ってもダメです。
ベルトを新しくしてもすぐ減ってしまいます。
ちなみにプーリーが減る以外に、プーリーのベアリングがダメになっている事もあります。
ベルトの張り具合を保つテンショナーと呼ばれる物のプーリーがあります。
それのベアリングがダメになり、キッキッと金属音みたいな音がします。
その場合もプーリー丸ごと変えるか、中のベアリングを打ち替えるかしないといけません。
良く聞き間違える音としてブレーキの音がありますが、ブレーキは走っている時しか鳴りません参考記事を貼っておきます
ディスクブレーキそもそもディスクブレーキとは、回転するディスクを2つのパッドで挟んで止めるブレーキです。ブレーキを踏むとキャリパーの中のピストンがパッドを押してディスクを挟み車タイヤの回転を止めます。ブレーキ鳴き[…]
ベルト
左側が減ってしまったベルトです。
厚みが薄くなってしまっています。
ベルト鳴きを放置したり、滑っているのにそのままにしているとベルトが摩耗して薄くなってしまいます。
こうなってくるとベルト鳴きもそうですが、下手すると切れてしまうかもしれません。
ベルト鳴きの対策
これは乗っている人しか分からない事なので、エンジンからキュルキュルやシュルシュルなど擦れている音がしないか気にするしかないです。
エンジン音の中で擦れる音はベルトしかありません。
なるべく乗った時に気にしてみて下さい。
あまりにも音がひどい様なら車屋さんに持って行って修理してもらう必要があります。
金額的にも社外のベルトを使えば1万円前後で交換出来ると思います。
プーリーが減る原因
これもベルト伸びが原因ではないかと思います。
ベルトが伸びるとプーリーの上を暴れながら回っています。
それを繰り返していると、プーリーが減ってしまい交換になってしまいます。
今回交換したのはオルタネータのプーリーです。
他にもテンショナーのプーリーやエンジンと一緒に回っているクランクプーリーなどがあるので、ベルトが鳴いていたら早めの調整がベストです。
繰り返しになりますが鳴き止め剤が無意味な理由
エンジンからキュルキュル音がした場合、原因は大体ベルトです。
上記で説明した通りベルトが切れた場合の被害はデカいです。鳴きを止めても亀裂が入っていて結局切れっちゃったでは話になりません。
お金はかかりますが、切れた時の事を考えれば他の装置、ベルトを破壊されるより早めに修理しちゃった方が断然コスパがいいです。
車屋さんに相談して直してもらうのが安心だしベストな選択だと思います。
まとめ
ベルト鳴きは気にして乗っていないと気付かない事も多く、ちょっと変な音がするだけで走る分には支障がないので、スルーしがちですが、そのまま乗り続けてしまうと、後にトラブルや余計に修理代がかかってしまったりします。
鳴きにくい切れにくい平べったいベルトを使っていても、鳴きますし、エアコンベルトは三角形のベルトだったりします。
夏の時期になるとエアコンを使うので、エアコンベルトが鳴くと言う修理依頼が多いです。
エアコンを使うとコンプレッサーを回のでエアコンベルトに負荷がかかり伸びやすくなります。
エアコンを入れてベルトが鳴く時はエアコンベルトを調整しましょう。
僕の中でのあるあるなのですが、ベルトが切れると他のベルトも巻き込みます。
外れてしまったり、他のベルトを切ってしまったりと中々ヤバい事になります。
ベルトなどの異音が聞こえたら早めに調整をしましょう。